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私たちの歯の表面はエナメル質と呼ばれる白い材質で覆われています。エナメル質形成不全とは、このエナメル質が形成されるときに起きる異常の総称です。歯の生え始めに起こり、乳歯・永久歯どちらでも見られます。
エナメル質形成不全は全体にわたって生じる場合もありますが、一部の歯だけに見られることもあります。
エナメル質形成不全になると、生えてきた歯には様々な異常が見られます。エナメル質形成不全が起きている歯の特徴は以下の通りです。
● 濃い白色の部分がある
● 茶色くなっている
● 表面にくぼみや穴がある
● エナメル質が薄くなっている
また見た目に変化はなくても、カルシウムやリン酸などのエナメル質中のミネラル含有量に異常がある場合もあります。
エナメル質はいったん形成されると、骨とは違って二度と形成し直されることがありません。そのため、エナメル質が形成される時期に何らかの障害が起きると、そのまま残ります。
エナメル質形成不全は虫歯のように見えることもありますが、虫歯ではありません。
ただし、そのまま放置しておくと、健康な歯より虫歯になりやすい傾向があります。そのため、子供の歯にこうした特徴のいずれかが見られる場合は放置せず、適切な治療を受ける必要があります。




エナメル質形成不全になる原因
乳歯がエナメル質形成不全になる原因は?
母親のお腹の中にいるときに栄養不足であったり、何らかの理由で早産で生まれてきた赤ちゃんの乳歯はエナメル質形成不全になることがあります。
また、生まれた直後の赤ちゃんが自分で呼吸をできなかった場合などに気管挿入を行うことがありますが、その際にチューブが歯ぐきを圧迫し、それが原因でエナメル質形成不全が起こる可能性があることも知られています。
様々な病気によって乳歯でエナメル質形成不全が起きることもあります。
● 表皮水泡症
● 副甲状腺機能低下症
● 偽性副甲状腺機能低下症
● くる病
他にも発疹や熱が出る病気もエナメル質形成不全との関わりが疑われていますが、詳しいことはわかっていません。
永久歯がエナメル質形成不全になる原因は?
乳歯がエナメル質形成不全になっていなかったとしても、その後に生えてくる永久歯がエナメル質形成不全になる場合があります。
例えば、小さいうちに栄養失調になったり虫歯によって乳歯の根っこに異常があったり、あるいは転倒などによって乳歯をぶつけて損傷したりすると、その後に生えてくる永久歯がエナメル質形成不全を起こす場合があります。
また、乳歯と同じく前述の表皮水泡症などの病気によっても永久歯がエナメル質形成不全を起こすことがあります。
①全身的なもの
特に乳歯時期のものに関しては、胎児の時に何かしらの影響を受けた場合が考えられます。
例えば、母親の栄養障害、内分泌疾患、遺伝的疾患、薬物による影響などでエナメル質形成不全が起こることがあります。乳歯が作られる過程で影響をうけ発症します。
一般的には左右の歯は同一時期に作られるため、これらが原因している場合には、左右対称にエナメル質形成不全が起こります。
②局所的なもの
永久歯にエナメル質形成不全が起こる場合には、乳幼児期において何か原因があった場合が考えられます。永久歯は乳幼児期に顎の中で歯が徐々に作られていきます。
その時期に転倒や受傷歴がある場合、大きな虫歯があった場合などが原因となりえます。
乳幼児期の転倒は仕方がない部分がありますが、虫歯は治療すれば治る可能性があります。
乳歯は抜けるからそのまま放置しておいて良いだろうと思うと、将来エナメル質形成不全の様な症状が起こる可能性があります。治療はしっかりとしておくべきでしょう。
エナメル質形成不全の治療方法
エナメル質形成不全の歯はその状態により治療法が異なります。
虫歯になりにくくするものから、虫歯治療に準じて治療をする方法もあります。
治療法には大きく分けて3通りの方法があります。
①フッ化物の塗布 フッ化物塗布は非常に簡便でありながら効果的な方法です。実際の症例としては歯が欠けている部分がほとんどない場合が適応となります。
フッ素には再石灰化といって、歯の質を強化してくれる役割があります。
この性質を利用して、歯に高濃度のフッ化物を塗布して歯質を強化して虫歯になりにくい様にする方法です。
白く白濁している部位はこれにより、普通の歯と変わらない様にすることができる可能性があります。
②充填治療
充填処置とは詰めて治す方法です。
詰めるものによっては歯を削らないものから、少し削って詰めるものがあります。
詰める場所や治療の行いにくさによっては、レジンではなくセメントを詰めて治療する場合もあります。治療も1回から2回程度で終わる場合が多いです。
③被せる治療
エナメル質形成不全の状態によっては大きく歯が欠けてしまうこともあります。
この場合には残っている歯を保護し、適切な形態に回復させるために被せて治療することもあります。歯が全体的に色調不良になっている場合にも被せて治療する方が審美的には良好に仕上がる場合が多いです。欠点としては歯を削る量が多いということです。
まとめ
エナメル質形成不全の原因はいくつか考えられますが、予防が難しい場合があります。
エナメル質形成不全になってしまった場合には歯磨き粉やフッ化物洗口を積極的に利用し、そこから虫歯が広がらないように気を付ける必要があります。
定期的な検診もとても大切です。
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