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2024.02.05
避難生活での口腔ケア

年明けから大きな震災があり、その後も各地で不安な日々が続いています。
被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。被災地の一日も早い復旧を、心よりお祈り申し上げます。
今回は、避難生活で日常を送ることが困難になったとき、避難所や環境の整っていない生活での口腔ケアの重要性についてお話していきたいと思います。

大規模災害時においては、長期の避難所生活を余儀なくされる可能性が高くなります。
阪神淡路大震災では、震災関連死の約4分の1の死因が肺炎、熊本地震においても、約3割が呼吸器系の病気でその大半が肺炎でした。
歯・口・入れ歯の清掃がおろそかになり、特に高齢者では、誤嚥性肺炎などの呼吸器感染症を引き起しやすくなることが原因の一つと考えられています。
災害時には、断水で水を使えない、口腔ケア用品の不足、入れ歯を外す場所の環境が整っていない等、口腔内の状態が悪化します。
不衛生な状態が続くと、むし歯や歯周病、風邪やインフルエンザ等の感染症、肺炎などのリスクが高まります。こうしたトラブルを防ぐためにも口腔ケアが重要になってきます。

小児で気を付けたいこと

避難所では、アメやチョコレートなどの砂糖の多い甘いお菓子に偏った食べ物が続きがちです。
水やお茶の代わりに、ジュースやイオン飲料などの歯を溶かす飲料を長く口に滞るような与え方(とくに哺乳瓶)も、一気にむし歯が多発する傾向があります。むし歯の痛みは、もし、夜泣きが出たりしても、痛み止めも効きません。
だらだら与えないこと、親の歯磨き介助、そして、歯の観察が基本です。
フッ素入り歯磨剤が入手できれば、歯ブラシがない場合でも小豆大くらい取り出し、少量の水に溶いて歯に塗ります(できなければうがいし、ふき取ります)。もし、緑茶があればこれを活用します。なお、食後のキシリトールのタブレットやシュガーレスガム(乳幼児は無理)もむし歯の予防に有効でしょう。

高齢者・要介護者で気を付けたいこと

入れ歯を紛失した人や入れ歯があっていないの人の体調には要配慮です!
「食べづらさ」による栄養低下、「飲みづらさ」による水分不足で、全身状態が悪化しやすい傾向があります。
避難所生活が長引くにつれ、体重減少で口腔内も痩せて、その結果で入れ歯が合わなくなることもあります。合わない入れ歯や、入れ歯なしで噛み合せは、歯ぐきや粘膜が傷ついたり、口内炎も起こりやすくなります。さらに、食べかすや歯垢を多く停滞させます。この不衛生も加わって、誤嚥性肺炎を招き易くなるので、うがいや清拭等の口腔ケアが一層必要なのです。
できれば入れ歯の作成や調整など、速やかに、歯科の要医療者としての手配をして下さい。
入れ歯が合わない場合には義歯安定剤で一時的な代用も可能ですが、まめな清潔保持が必須です。
入れ歯を外せず寝る場合も、毎日外して少しの間でも歯ぐきを休め、清掃して就寝しましょう。
高齢者の食べにくさは、使わない口の機能の廃用低下が心配です。起きてすぐや食前に、「お口の体操」を実施し、体と目を覚まし、唾液を分泌させ、食べる手助けにします。食後は舌の動きと唾液で、口腔内を洗浄しましょう。

免疫機能・口腔機能(摂食嚥下、分泌、咀嚼、味覚等)の低下した高齢者で、口腔清掃の不備から風邪やインフルエンザなどの気道感染そして誤嚥性肺炎の発生が高まります。そのため、入れ歯があっているかと同時に、自分で磨けない人には口腔ケアの介助が必要になります。
さらに、ムセや食べこぼしのある嚥下機能の低下した要介護高齢者や嚥下障害者には、次のような口腔ケアと食の支援が重要になります。
*とくに、嚥下障害者には
口腔の清潔に加え、①正しい食事の姿勢と食に集中できる環境、②飲み込み易い食形態(さ
らっと流れる水分は危ない)、③「ごっくん力」に応じ食前の健口体操を徹底します。

支援者自身の口腔ケア

支援者自身、自らの舌の色の観察を忘れず、口腔の健康管理を心がけてください。
舌の色が、白味が厚みを増してきたら(舌苔)、口腔乾燥や内臓機能低下、体調低下の兆候です。
疲れや緊張の連続は、唾液分泌を低下させ、歯垢や歯石沈着と合わさって歯肉炎を引き起こします。この場合、通常の歯磨きでも歯肉からの出血や口臭などで気づかされます。
歯を磨く余裕が十分ないかもしれませんが、数日に1回は歯ブラシ片手に念入りな歯磨きと歯間清掃(フロスや歯間ブラシなど)を行いましょう。
すぐに歯磨きができない時も、シュガーレスガムなどをよく噛んで、その爽快感と同時に唾液を出し、口腔機能の賦活を通じた、副交感神経刺激を心がけましょう。顔面体操などお口の健口体操もストレス発散効果 ストレス発散効果があります。

お口の清潔の援助 ~ 口腔ケアの方法

水やブラシがなくても…唾液がよく出るよう、食前食後に口や舌の体操や唾液腺のマッサージをする。
ぬらしたガーゼやタオルなど手指にまいて歯ブラシ代わりに歯の表面を擦過してふき取る。
ミカンや柑橘類の皮(できれば乾かして)や、お茶や柳の葉などで歯や歯ぐきマッサージしながら、汚れをふきとってもよい。
爪楊枝やミシン糸など入手できたら、歯と歯の間の食渣を除去する。
歯ブラシが確保できれば、 毎食後に隅々まで丁寧な歯磨きを励行し、乳幼児や要介護者の方には介助
を行うようにしましょう。
歯磨剤やお茶によるうがいや歯磨きが有効です。お茶はカテキンの殺菌作用を期待できます。
入れ歯や舌の清掃も重要です。歯のない方も、歯ブラシで口の粘膜や筋肉の刺激を高めます。
(粘膜は、こすり過ぎ、傷をつけないように注意!)

まとめ

予期しない災害が発生した際、被災者は避難所などでの生活を余儀なくされることがあります。避難所での生活が長引くと、集団生活のストレスや栄養不足による体力低下、お口の清潔を保ちにくいなどの理由で、歯周病・口内炎といったトラブルが増えます。また、特にお年寄りや要介護者では誤嚥性肺炎等の呼吸器感染を引き起こすこともありえます。災害で水の調達がままならない状況にあるときでも、「口腔清拭シート」「マウスウォッシュ」「口腔保湿ジェル」などを活用してお口の中を清潔に保ってくださいね。

予防歯科
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