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Column 歯周病
なぜ歯石を取らなくてはいけないのかと思っている方も多いのではないでしょうか。歯石とは歯の周りについている石のようなものです。歯医者で歯石を取るのは面倒ですよね。しかし、実は歯石はただの石ではなく、そのままにしておけば歯が歯周病で抜けてしまう場合もあるのです。歯石は歯周病の原因である細菌の住みかなのです。今回は歯石がなぜできてしまうのか、そして取らなくてはいけない理由について詳しくお話しします。
歯石とは?

お口の中で歯の周りにつく石のようなものです。プラーク(細菌の塊)が唾液の中のカルシウムやリンなどのミネラル成分と結びついて石のように固くなったものを歯石と言います。
歯石はなぜ取らないといけないのか?
歯石自体は悪いものではありません。歯石はザラザラしており上から汚れ(プラーク)が付着しやすいため細菌が繁殖し、毒素を出します。その毒素が歯茎を腫らせたり、歯の周りの骨を溶かす歯周病の原因になります。歯石は歯磨きなどでは取れないので、歯医者で取る必要があります。歯周病は糖尿病、心臓病、脳卒中、慢性腎疾患、肺炎、骨粗しょう症、癌および早産などの合併症を伴うことがあります。そのため歯周病を改善することはとても重要なことであります。
歯石はどうやってできる?
歯は食事をする度に表面のミネラル成分であるカルシウムやリンが溶け出して(脱灰)しまいますが、唾液の中にあるミネラル成分によって元に戻ります(再石灰化)。このように唾液の中には歯が虫歯にならないように、大量のミネラル成分が含まれています。だから、プラークが残っていると48時間で歯石になってしまうのです。
歯石取りの方法
歯茎より上の歯石

歯石除去は超音波の振動を与えながら歯石を粉砕して除去して行きます。特に歯茎の上の柔らかい歯石は比較的簡単に取れます。歯石はどんなに歯を磨いていても徐々に形成されていき、誰にでもできてしまうものなので、特に問題がなくても定期的に歯科医院を受診して除去してもらう必要があります。
歯茎より下の歯石


血液を含む歯茎の中にできてしまった黒く硬い歯石は、歯にこびり付いています。歯と歯茎の隙間の歯周ポケット内の歯石は歯周病の原因となるものです。超音波の振動や歯石を取る細い器具を使って取って行きます。この時、歯茎が腫れていたり、出血があると取り残しが増えるため、歯茎より上の歯石を取った後正しいセルフケアで出血が無い歯茎の状態にしてから、歯石を取る必要があります。
歯石は、プラークが唾液と結合することで2~3日かけて歯石へと変化します。そのため、歯石になる前の柔らかいプラークの状態であれば歯ブラシで除去できます。ご自身で歯石を取り除くことはできませんが、歯石になることは防げるでしょう。
歯石は自分で取れる?

歯石は石のように硬く強固に付着するため、歯ブラシでは取れません。また最近ではドラックストアや通販で歯石取りキットが売っていますが自分で歯石を取ることはおすすめできません。なぜかと言うと、歯や歯ぐきを傷つけてしまう可能性が高いためとても危険だからです。歯石を取るための有効な手段は、歯科医院での専門的なクリーニングです。
歯石除去はお口の中の状態によって回数が異なる
歯茎より上の歯石は1回で取れる
歯茎の上に出ている歯石で少し黄色で、プラークと唾液によって作られたものです。比較的簡単に取ることができ、歯磨きやデンタルフロスが上手で、3ヶ月から6ヶ月に一度定期的に歯石除去をされている方は1度で全て取ることができます。
歯茎より下の歯石は数回かかる
歯茎の中にある歯石でプラーク、唾液に加え血液によって作られたものです。歯石の中に血小板など血液を固める成分が凝縮されるため、硬く歯にこびりつき、赤黒い色をしています。歯に強くこびりついていて、取るのに時間がかかります。磨き残しが多く、デンタルフロスの使用がなく、歯茎から出血している方はこの歯石が多く、歯石を取るのに2〜6回かかります。
歯石取りで起こること
知覚過敏

歯茎の中の歯石取りをすると急に歯茎が引き締まり歯がしみるようになります。これは歯に歯石が付いていたことによって歯周病が進行し、歯の周りの骨が溶けてしまったことが原因です。歯石を取る前は歯石や汚れで根の周りが覆われていましたが、歯石を取ることによってお口の中に直接、歯の根の部分が露出してしまうため、知覚過敏になります。
歯茎が下がったように見える

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深い場所にある歯石を取ると歯茎が引き締まり、下がったように見えます。歯石によって歯の周りの歯茎が腫れたり、骨の周りの骨が溶けてしまっていたので、歯石を取ることによって腫れていた歯茎が引き締まり、歯茎が下がったように見えますが、この状態が現在の正常な状態です。
重度の歯周病の場合歯が揺れる

歯周病が重度の方は歯石を取ると歯が揺れてくることがあります。これは歯に歯石が大量につくことによって、歯石で歯がつながっていたため、歯石を取ることによって一時的に歯周ポケットが開いてしまうことで起こります。
歯石の付きやすいところ
下の前歯の裏側
下の歯の前歯の裏には舌下腺という唾液を作る器官の出口があります。前歯の裏にプラークがあると唾液の成分で直ぐに歯石になってしまうので、歯石が付きやすくなります。その代わりその成分のおかげで歯が溶けても、直ぐに石灰化するので、虫歯にはなりにくい場所です。
上の歯の奥歯の頬側
上の歯の奥歯の頬側には耳下腺という唾液を作る器官の出口があります。そこにプラークが残ると直ぐに唾液の成分で歯石になってしまいます。
出血のある歯周ポケットの中
歯石の成分の一つは血液です。歯茎から出血がある方や、歯周ポケット内に出血がある方は血液と唾液とプラークが結びついて歯石になります。この歯石は特に歯周病を悪化させる細菌の住みかを作ります。
歯石が付かないようにする方法
毎日プラークをしっかり落とす

歯石は唾液、プラーク、血液から出来ています。唾液は体や歯に取って欠かせないものです。しかし、プラークは歯磨きとデンタルフロス、歯間ブラシを正しい使い方で行えば防ぐことができます。プラークは24時間で作られ、48時間で歯石になります。毎日プラークを残さないブラッシングをマスターすることが歯石予防の方法です。
出血のない歯茎を保つ

歯周病で歯茎や歯周ポケット内に出血があるとそれが歯石になっていきます。歯周ポケット内の出血は自分では気づきにくいもので、この出血が歯周病菌の活発度合いも示しています。出血のない健康的な歯肉(色はピンクで歯に対して歯肉が引き締まってる)を維持することで、歯石を予防できます。
きれいな歯並びは歯石も防ぐ
歯並びが悪いと歯ブラシを当てるのが難しいため歯石が付きやすくなります。歯周病になると歯が動き、さらに歯並びが悪くなる恐れがあります。予防的に矯正で歯並びをよくすることで見た目だけでなく、予防に繋がります。
歯石は誰にでもついてしまうものですが、歯石は虫歯や歯周病、口臭のもとになります。放置すればするほど硬く付着し、大がかりな治療が必要になることがあります。毎日の丁寧な歯磨きと定期的な歯科医院でのクリーニングで、歯石を予防することが大切です。
歯周病治療